ラスター彫刻とベクター彫刻、その違いは?
ラスターとベクターとは?
ラスターとベクターは、レーザー加工用データとして必要な画像形式です。ラスター形式は、点(ドット)の集まりで画像を描いて表現しているデータで、ピクセルで構成されています。一方ベクター形式は、点を数値で描いて表現しているデータで、パスや線で構成されています。レーザー加工のラスターとベクターの違いは、X-Y軸の動きやパラメーター設定が異なってきます。
ラスター彫刻
ラスター彫刻とは、ラスター形式のグラフィックデータをレーザーで彫刻する加工で、レーザー彫刻のスタンダード加工です。グラフィックデータを線単位で印刷するインクジェットプリンターと同じタイプの加工です。つまりX軸のレーザーが線単位で水平方向に左右に動く往復加工です。
ピクセルで構成された画像をビットマップと言います。インクジェットプリンターがインクを吐出するように、レーザーが線単位やポイント単位で画像データを彫刻します。つまり、レーザー加工機は、インクを吐出する代わりに、レーザーが材料をピクセル単位で削っていきます。
ラスター彫刻の加工では、X軸とY軸のスピードが違っています。レーザーヘッドが取付けられているX軸の動きは速く、Y軸はX軸に比べると遅いスピードです。
またラスター彫刻は、JobControlレーザーソフトウェアで設定するPPIパラメーター値が重要になります。それはPPI (= pulses per inch)が、レーザーポイントの濃淡をコントールするからです。詳しくは下記ページのPPIの説明をご覧ください。
ベクター彫刻 / ベクターカット
ベクターは、ベジェ曲線という数式で表現されている線です。グラフィックソフトウェアで、レーザー加工用のベクター線にはヘアラインの線幅を選択します。つまり、ヘアラインで描かれた直線や曲線のアウトラインは、レーザー加工用データ(ジョブ)でベクター形式として認識されます。
ベクターデータは、レーザー出力の強さによって、ベクター彫刻やベクターカットになるので、「スコアリング」とも呼ばれています。ベクターデータは、高いレーザー出力に設定するとカット加工=ベクターカットになります。一方、低いレーザー出力に設定した場合は、完全なカット加工ではなく、ベクター線をトレースした加工=ベクター彫刻(例:ハーフカット)になります。ベクター彫刻の加工スピードはラスター彫刻より遅く、X軸とY軸は同時に動きます。