革の名刺入れ
トロテックのレーザー加工機で、革から3種類の名刺入れを一度に作ってみましょう。
準備
材料
- 皮革:厚さ約2mm
- マスキングテープ
使用機種
- Trotec Speedy 100
- 25W
- 1.5" レンズ
アクセサリー
- ハニカム カッティング テーブル
ステップ・バイ・ステップ
ステップ1:デザインの作成
本ページ下のデザインデータをダウンロードして、グラフィックソフト(CorelDRAWまたはIllustrator)で開いてください。デザインデータには、デザイン、形状、縫製の異なる3種類のデータを用意しています(ステップ2のイメージ参照)。3種類全部、またはお好きなデザインを選んでサイズ等を調整してください。もしくは、グラフィックソフトでオリジナルの名刺入れを作図してください。
デザインが完成したら、次にレーザー加工機用データに出力します。グラフィックソフトの印刷でプリンター:Trotec Engraverを選択し、環境設定をクリック、出力設定タブを表示して、サイズ、材料、加工オプション等を設定します。設定が完了したら最後に印刷を押して、JobControl(ジョブコントロール)レーザーソフトウェアにデータをジョブとして出力します。
印刷のデータ出力設定
印刷 > Trotec Engraver > 環境設定 > 出力設定
ステップ2:レーザー加工
JobControl(ジョブコントロール)レーザーソフトウェアを起動し、ステップ1でデータ出力したジョブをJobControlのプレート上に配置します。次にJobControlの「材料テンプレート」を開いて、下記のパラメーターを設定します。
※本ページ下のJobControlをダウンロードして、JobControlソフトウェアにパラメーターをインポートすることができます。ただしJobControlのパラメーターをインポートする際、データベースに同じファイル名が既存している場合は上書きされますのでご注意ください。
パラメーター設定
【彫刻(デザインの黒)】レーザー出力80%、スピード50%、解像度500ppi、パス:2、エアアシストON
【スコアリング(デザインの赤)】レーザー出力20%、スピード2%、周波数:2000 Hz、エアアシストON、Zオフセット+2mm
【カット(デザインの青)】レーザー出力35%、スピード0.7%、周波数:1000 Hz、エアアシストON
【カット(デザインの緑)】レーザー出力66%、スピード1.8%、周波数:1000 Hz、エアアシストON
※パラメーター設定は、加工する皮革の種類によって異なります。カットを綺麗に加工するために、様々なパラメーターでテストすることをお薦めします。
パラメーターの設定後、材料の革をハニカム カッティング テーブル上にセットします。この時、革がしならないように、マスキングテープで固定します。最後にフォーカスツールとレーザー加工機の操作パネルで焦点距離の位置決めをしたら、レーザー加工をスタートします。
ヒント
- Zオフセットを使って焦点をぼかすと、レーザービームの幅が広くなり、カット線が重なり合います。これがカット線による「彫刻効果」です。
- 革にマスキングテープを貼って加工すると、焦げを防止できる場合があります。ただし、テープを剥がす際に表面が傷つきやすい革、テープが剝がれにくい革もありますので、必ず加工テストをしてください。
ステップ3:クリーニングと縫製
クリーニング
レーザー加工後、乾いた布で革の表面から燃えカスや焦げを拭き取ってください。それで取れない場合は、湿った布を使うか、あるいはアルコール成分のクリーナーで除去してください。革に影響を与える場合がありますので、目立たない箇所で必ずクリーニングのテストをしてください。
※ヌメ革、タンニンなめし革、スウェード、合成樹脂加工等、革の種類はとても豊富です。革の種類によって、彫刻の濃淡や焦げの具合など、レーザーとの相性は異なりますので必ず加工テストをしてください。一般的に、本革(天然レザー)は、彫刻やカットのレーザー加工中に炭化しやすい傾向があります。また独特な臭いが発生し、カット面に黒いシミがつく場合があります。
※クロムなめし革は、レーザー加工に適していない材料です。
縫製
サンプルデザインの1種類は、縫い合わせの要らないデザインの名刺入れです。写真を参考にレーザーカットした革を折り、カット部分に革を通して完成してください。
他の2種類は、外周に沿って直径1mmの小さな穴をレーザーでカットしています。この穴に太くほつれにくい糸を通して、裁断した革を縫い合わせてください。レーザー加工機は、菱目打ちなどの道具を使わず、革に穴をあけることができるので、加工とクリーニング後すぐに縫製作業に入れます。したがって、レーザーを使うと、手作業による穴あけ工程を省いて、革製品の生産効率をアップできます。