科学技術館
レーザー加工の「ものづくり」で、子供たちの「アイデアづくり」に
東京都千代田区の科学技術館では、子供たちにレーザー加工機を使用した「ものづくり」の体験を提供しています。2年前に導入したTrotec(トロテック) レーザー加工機について、「ものづくりの部屋」担当の丸山義巨(まるやまいさお)氏にお話しを聞きました。
公益財団法人 日本科学技術振興財団
科学技術館
〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園2番1号
レーザー加工機の用途
- 「ものづくりの部屋」のワークショップコーナーでのオリジナル定規づくり(対象者:小学3年生以上)
- 館内展示物の部品や新しい企画展示品の製作
使用機種
- Trotec Speedy 300 レーザー加工機
- Atmos Mono 集塵脱臭装置
レーザー加工機の用途を教えてください。
ものづくりの部屋の「ワークショップコーナー」で、小学3年生以上を対象とした、オリジナル定規づくりの加工工程で使用しています。さらに、館内の壊れた展示部品の修理や新しい企画展示品の製作に使っています。ワークショップで使う定規本体も一枚のアクリル板から科学技術館のロゴを入れて館内で加工しています。
機器選定の理由は何ですか。
トロテックのレーザー加工機は、スタンプを作るという基本的な必要があって製造され、汎用化した装置なので、耐久性がよいだろうと思いました。また、一般的な作図ソフトウェアで、専門的な知識がなくても誰でも使用できる点です。
実際に加工機を使用していかがですか。
メンテナンスについても、フィルターが詰まってきたら交換しなければいけませんが、一年間でインジケーターの25%が35%*にまだなっていません。私たちとしては毎日マシンを使っている感覚なのに、耐久性が非常によいと満足しています。レーザー系のトラブルも今のところ全くありません。
*この数値は、加工する材料、使用頻度、使用状況等によって異なります。
毎日様々なスタッフが使用していますが、ほとんどのスタッフが2時間程度の講習会を1回行っただけで使えるようになっています。また、室内用の純正排気装置が付いているので加工機の移動が自由にできます。現在ここにある機械は別の階に仮置きをしていましたが、工事をせずに動かすことができました。
ワークショップの来場者数はどのくらいですか。
平日は名前と日付を彫刻する定規作りですが、月曜から金曜の合計で、多いときは約100人くらいです。平日は学校の社会科見学で来館する子供たちが多いのですが、家族での来館が多い土日は名前の彫刻と、パソコンで好きな形を作図し、それをくり抜いたオリジナル定規を作ります。土曜は午前と午後の2回で計20名、日曜は午前のみの10名で、毎回ほとんど定員でいっぱいになります。
子供たちの反応はどうですか。
レーザーが動き出すと、子供たちは「はやっ!」と言って、もうびっくりします。レーザー加工機という機械が、実際に何ができるのか想像できる人は少ないと思います。ですから子供たちに、ここで実際にアクリルの板を高速で彫刻して、カットをして、画面に描いた通りになるということに感動してもらっています。
子供たちにレーザー機を体験してもらう目的は?
「ものづくりにはいろいろな技術があること」を伝えたいというのがこの部屋のテーマです。そして技術的な機械は、決して専門家だけのものではないことを子供たちに知ってもらいたいのです。この科学技術館でアクリルの素材を自由自在に切り抜いたということを記憶していれば、プラスチックをどうやって切ったらいいのだろうと、想像もつかない状態と比べると、アイデアを考える意欲がまったく違うと思います。自分が将来どういう装置で、どういうデザインや設計をしてものづくりが実現できるのか、ということを常にアイデアとして頭に留めておいてもらいたいのです。
今後のプランについて教えてください。
次の段階としては、子供たちが自分でアイデアを設計図に起こし、ここへ持ってきて加工できるようにすることです。例えば小学5年くらいの子供が作った作品をホームページやここに展示して、それを他の子供たちが見てくれれば、同じ年でこういうことができるんだ、学校以外にこんな世界があるんだと感じてもらうことができます。それによって、想像したものを実現する方法がここにあることを知ってもらいたいと思っています。また、「ものづくりの部屋」ではスタッフブログを開設したので、今後のご案内をお客様に詳しく説明していく予定です。
※本文に記載している機械の機能・効果・仕様等は、取材時の情報です。
(取材2015年3月)