導入事例「andMade.kitasando」
(アンドメイド北参道)
お客様について
andMade.kitasando(アンドメイド北参道)は、アパレル関係会社が数多く集まる東京渋谷の千駄ヶ谷に、2017年4月グランドオープンした服創りを楽しむためのコワーキングスペースです。
ファッション専門のファブ施設にトロテック・レーザーカッターを設置した理由や効果を、古舘プロジェクト/andMadeチーフマネジャーの荒尾 美穂子氏にお聞きしました。
― 服創りに特化したファブ施設に、なぜレーザーカッターを導入したのですか?
【荒尾 氏】ミシンなどの縫製機器に加え、オンリーワンの服作りをする上でアクセサリーやボタンなど、パーツからオリジナルデザインのものを作れる機器が必要でした。そこで当初はレザー(皮革)やアクリルの加工用途が多いことを予想してレーザーカッターを施設内に置きましたが、最近はテキスタイルをカットしたいという利用者が増えてきました。
例えば会員利用の多いデジタル機器を上げると、1位がテキスタイルプリンター、3位が刺繍ミシンと、服作りに直結する機器になりますが、2位にはレーザーカッターが入っています。結果的にレーザーカッターは現在、テキスタイルプリンターや刺繍ミシンと並ぶ人気の機器になっています。
― どのようにレーザーカッターを活用していますか?
【荒尾 氏】先にもお話した通り、レーザーカッターは一般的に服作りに直結する機器ではないと思われますが、数ある設備の中でも常に人気上位で稼働しています。andMadeの会員の方はほぼ100%服作りが目的なので、素材は様々ですが、テキスタイル40%、レザー(皮革)30%、アクリル10%、その他20%の割合になります。これらの素材から、服やファッション雑貨の制作にレーザーカッターを取り入れて利用しています。
具体的には、テキスタイルをレーザーでカットするとほつれなくなる特性を活用して、数センチ四方の細かなパーツで組み立てられた服を作ったり、文字の形にカットしたテキスタイルを貼り合わせて生地を作った方がいます。デニムやサテンの生地に彫刻するのも人気の加工です。レザー(皮革)はバッグのパーツやタグを作るための利用が多いです。例えばレザーを使って組み立て式のバッグや、発泡剤にカットと彫刻をしてオリジナルの靴底を作った方もいます。レーザーカッターを使うと手作業ではできない細かく正確な裁断ができるので、実験的な作品に挑戦される会員も大勢います。
【荒尾 氏】テキスタイルプリンターやUVプリンターと合わせての利用が多いです。テキスタイルプリンターでプリントした生地の裁断をレーザーカッターで行なったり、レーザーカッターでカットしたアクリルをすぐ隣のUVプリンターでプリントしたりしています。
andMadeならではの用途としては、ネームタグ(首の後ろについているブランドタグ)です。ネームタグは通常オーダーすると少なくとも数百枚単位で発注しないといけないのですが、andMadeの会員は一点ものや少量生産が多いので、テキスタイルプリンターでプリントを施した生地をレーザーカッターでヒートカットして必要な枚数だけを作ったりしています。
【荒尾 氏】データ作成についての相談が多いです。服飾に特化した施設の特性上、Illustratorグラフィックソフトを使いこなせる会員のお客様が限られています。現在そのようなお客様には、スタッフが相談にのってお手伝いをしていますが、Illustratorでの作図が苦手な方にも利用してもらいたいので、アプリなどで作図がもっと手軽になるとレーザーカッターの利用者がさらに増えると思います。
また素材について、レーザー加工できるか、カットや彫刻面がどのようになるかなどの質問も頻繁にあります。生地を加工する時は素材の混率や組織の種類よってパラメーターの微調整が必要なので、お客様の要望をヒアリングしながらテストカットを行なっています。新しい素材の相談を受ける度に調べたり実験したりしているので、スタッフ側の勉強にもなります。